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私的・すてき人

子どもたちの笑顔が最高の喜び!ひとりでも多くの人に感動を届けたい

File.129

NPO法人 おはなしキャラバン“つばさ”代表

たちばな ゆみこ

立花 由美子さん [大阪府泉大津市在住]

公式サイト: http://www.gem.hi-ho.ne.jp/tsubasa/

プロフィール

1953年 兵庫県出身 
1983年 小学校教諭のかたわら、おはなしキャラバン“つばさ”を立ち上げる
2009年 “つばさ”が第39回毎日社会福祉顕彰受賞    
2013年 「子どもたちの“こころを育む活動”(パナソニック財団主催)」奨励賞受賞
2015年 全国47都道府県、離島を含め津々浦々まで公演をして回る「チャリティーきゃらばん」を実施
    設立から32年、上演回数は4000回以上、80万人を超す子どもたちに人形劇をとどける

時にチャンスはピンチの顔をしてやってくる。
 
  
小学校の先生になりたての頃“子ども”たちに、受け入れてもらえず悩む自分がいた。
 
「子どもとの出会いは、けしていいものではなかったんです。生徒が自分の思い通りにならない、クラス運営もうまくいかない…シンドい事だらけで」
 
だがある日、ハタと気がつく――「子どもたちはみんなお見通しだった。私がカタチから入ろうとする未熟な先生だってこと、全部わかってたんです。子どもは私を映す鏡だったんですね」
  
「子どもって、なんて正直で面白いんやろう…」そう思った瞬間、ツラかったはずのピンチは一気に大きな夢へと姿を変える。
 
「よっしゃ、探してたものはこれや!って(笑)子どもと本気で向き合う――この仕事は面白いゾ~ってワクワクしました」そのワクワクがどんどん大きくなって、今では全国の子どもたちの心を育みたいと奔走する。
  
「あの時、子どもたちがウェルカムじゃなかったからこそ、今の私があるんです。人生はほんとに面白いなあって」
 
 

公園から始まったおはなしキャラバン

おはなしキャラバン“つばさ”は、32年前彼女が住んでいた団地の、小さな公園からスタートした。
  
数人のメンバーで自作の人形を手に劇を始めると、何十人もの子どもが詰めかけるわ、あちこちのベランダからのぞきこむわで、まるでお祭りのようだったという。
 
「次は何のお話し?今度いつ来てくれるん?て子どもたちがそれは喜んでくれて。何ヶ月もかけて人形を手作りして、脚本を準備して練習して、もうメチャクチャ大変だったんですけど、終わってみたら喜びがシンドさを超えてたんです」
 
 
劇やお話しとの出会いは、幼い息子を連れて通った、ご主人の職場でもあった図書館。
 
本読み会やイベントに参加するうち、「いつか自分たちで人形劇をやって、子どもたちを楽しませてみたい」という小さな夢が生まれたのだ。
 
一方で「子どもが二十歳になった時に、自分も何か誇れる仕事をしていたい」という湧き上がるような思いから、教師の資格をとるために勉強も始めていた。
 
数年後無事合格し、小学校の教師として教壇に立つことに。そこでくだんのピンチがやってきたわけだ。
   
「あの生徒たちに会ってなかったら、劇団を作ることなんて考えてなかったかもしれない」というくらい運命の出会いだった。
 
 
そしてもうひとつ、当時から気になっていたことがあった。生まれた時からテレビもゲームもある環境の中で育った子どもたちに「みんなで一緒に遊ぶ、共に感動するという体験が足りないなあって感じてた」
 
いつくもの流れがひとつになって、友人たちと公園で始めた人形劇――それが“つばさ”の第一歩だったのだ。
 
  
月曜から土曜の午前までは小学校の先生、土曜の午後は自宅を開放して家庭文庫を開き、日曜は劇のけい古や上演…と、目が回るような毎日が始まる。
 
「どんなに大変でも子どもたちの最高の笑顔を見ると、幸せでいっぱいになる。それがギャラみたいなもの(笑)」
  
 

子どもたち自身が主人公になれる舞台を

“つばさ”の舞台は、演じる側と見る子どもたちが一体となって創りあげる“ライブ感“が魅力。
 
「子どもを静かにさせて演じるんじゃなく、問いかけて会話しながらノセていく。そうしたら子どもたちはお話の主人公になって一緒に冒険を始めるんです」
  
活動を始めてみると、口コミでアッという間に月に数件の依頼が来るようになった。
 
5年目には年間60もの依頼が押し寄せ、「両立は無理やと、学校の方を辞めました(笑)」
 
「こんなに求めてくれるなら、もっともっと色んなところでやりたい!でも子どもからお金をとることはしたくなかったんです。入場料をとると、見たくても見られない子がでてくる。色んな家庭の事情で見られない、そんな子にこそ楽しさや感動を味わってほしいのに」
 
とはいっても活動費、交通費、その他さまざまな費用は確保しなければ続かない。考えあぐね大阪府知事のもとへ「支援してほしい」と直談判に行ったことも。
 
そんな時出会ったのが、日産労連(全日産・一般業種労働組合連合会)だった。「組合員が毎月100円を出し合って運営している福祉基金をもとに、障がいがあって施設から出られない子どもたちの所へも、人形劇を見せに行ってあげてほしい」という依頼が来たのだ。
 
  
だがそこには普通の学校や幼稚園で上演するのとは、全く違う壁がいくつも立ちはだかっていた。
 
視覚障がいがあったり、耳が不自由だったリ、障がいの種類も程度もさまざま。どうすれば楽しんでもらえるのか、生の感動を共有できるのか――
 
「ここで演じる力を鍛えてもらったんです。ちょっとでもこちらの集中力が途切れたら、子どもたちの気持ちをつかめない。目が見えないなら舞台を触ってイメージしてもらおうとか、どうやって発信すればこっちに引き込めるやろとか…ほんとに学ぶことばっかりでした」
 
 
オリジナルはもちろん「さるカニ」や「ヘンゼルとグレーテル」などの童話や民話をアレンジしたものなど、脚本・演出のほとんどを彼女が担当。
 
さらに全国で行った4000回以上もの公演のすべてに出演しているというのだから、そのパワーたるや並ではない。
 
「どんなにキツくても、疲れてても終わった後には、子どものキラキラ光る瞳と笑顔に会える。そこで元気がチャージされるのよね」
 
 
鳥の羽根のように、子どもたちのもとへ夢をのせて飛んでいきたい…そんな思いで名づけた「つばさ」
 
感動という大きな翼を広げて、未来に羽ばたいていく…そんなエネルギーをひとりでも多くの子どもに届けたくて、明日もまた6人の団員と共に駆けめぐるのだ。

2015/11/3 取材・文/花井奈穂子 写真/ 小田原大輔