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私的・すてき人

おいしくて体にやさしい、そんなカフェを開きたかった

File.142

「cafe-yu(カフェユー)」代表

ふくたに ゆうこ

福谷祐子さん [大阪府富田林市在住]

公式サイト: http://www.kit-press.com/?post_type=gourmet&p=10909

プロフィール

1962年 大阪府出身
2007年 介護のアルバイトを始めたことから後にヘルパー、介護福祉士の資格を取得
2015年 カフェ「cafe-yu」を開店
2016年 大阪府主催の「ヘルシーメニュー人気コンテスト」で最優秀賞を受賞  野菜ソムリエ、べジフルビューティーセルフアドバイザーの資格も持つ

夢をかなえるなら、いつだって“今”しかない。
「50代を前にした時、私にはもう時間がないって思ったんです。迷ったり、悩んだりしてるヒマはない。今すぐ夢を追いかけなきゃ!って」
 
主婦だから、もう若くないから…とあきらめる理由を探すより、今やりたいことをやる――3年前そんな強い思いで、カフェ開店への道を走り出した。
「私がほんとにやりたかったことは、カフェを開くことだったんやなって、ある日気がついたんです。それも体にやさしい、ヘルシーなおうちごはん。障害がある方でも、気軽に来てもらえるようなお店を持ちたい。なら悩む前に、とにかくやっちゃおうって(笑)」
 
仕事先にも家族にも内緒でひとりひそかに、だが着々と計画を実行していった彼女が、さてどうやって夢をカタチにしていったのか、その道のりやいかに――
 
 

介護で知った誰かのためになる喜び

主婦なら一度は経験する「私は何者なんだろう」という思い。
子どものために、家族のためにとひたすら生きてきた人生って、いったい何だったんだろう… 自分が叶えたかった夢や思いは、どこで失くしてしまったんだろう…
 
「私も40代後半でわりと早く子育てが終わってしまって。このままでほんとにいいのかなあって迷い始めたんですよね。もう自分のために時間を使ってもいいんじゃないかって…」
 
さあ、ここが別れ道。このままラクだがドキドキの無い日々を送るか、自分の夢に飛び込んでいくか――
彼女の出した答えは「とにかくやってみる、新しい人生を手に入れたい!」だった。
 
数年前からムクムクと自分のなかに生まれてきた「カフェ」への夢。実現させるなら今しかない――そう決めた彼女は「夫にも、職場にも、ほんとに誰にも内緒で(笑)」心斎橋にあるキャリアスクールに申し込んでしまったのだ。
 
さらに体にやさしいごはんを提供したい――そう思うきっかけは、7年前から続けていた介護の仕事にあった。
「介護の事務所がたまたま近くにあったから、なんとなくパートに出たんです。でもヘルパーとして家に伺って、料理を作るとみんなスゴく喜んでくれる、それがうれしくて。しかも成人病で食事制限してる人も多くて、とても勉強になった。こんな方たちにも、喜んでもらえるようなお店をいつか出したいなあって、思い始めたんですね」
 
もともとが思い込んだら一直線の性格。介護の世界で働くからにはと、介護福祉士の資格も独学で取ったが、いつしか思いは介護とは違う方向へと動いていった。
「結局、介護の仕事が自分の夢にはならなかったんです。50歳を前にした時、あ、やっぱりカフェ開きたい!って。それですぐ貯金をはたいて“カフェオーナー速習クラス”に飛び込んじゃった(笑)」
 
 

府の最優秀賞を受賞した人気ランチ

入学してまず教えられたのは「なぜ店はつぶれるのか」――
たしかにカフェは誰にとっても身近なだけに、参入者も多く競争が激しいのも事実。気軽に始めたものの3ヶ月で閉店、なんてこともザラにあるシビアな業界ではある。
「経営知識、立地、スタッフ、オリジナリティ…さまざまな条件をクリアしないと、店は続かない。オシャレなだけ、美味しいだけではダメだと教えられたんです。半年間かなりキビしかったけど、バリスタ技術から経営のノウハウ、ショップのプランニングまで、ここで学んだことがすべて今につながってるんです」
 
実際に営業しているカフェを1日借り切って、オーナーの体験をする実習では「挫折感でいっぱいになりました。オーダーは間違える、接客ではミスする、自分がなんにもできない事が悔しくて…」
 
こうしてシゴかれながら、ひとつずつ試験をクリア。一方では野菜ソムリエやべジフルビューティーセルフアドバイザーの資格も取得。後は物件を探すだけ、というところまでこぎつける。
 
「店の場所を見に来た時、あ、ここや!ってヒラメいたんです。緑がいっぱいの住宅街で、すぐ近くには錦織公園があって。スロープをつけてバリアフリーにしたい、和モダンのゆったりした内装に…ってもう次々絵が浮かんできて(笑)」
 
そして2年前、ついに念願のカフェをオープン。だが、好きを仕事にすることは、そんなに簡単なことではない。
「人間関係やメニューで悩んだり、接客のトラブルがあったり…でもとにかく1年間はガムシャラに頑張ろうって。何度も不安になったけど、なるようになる!落ち込んでるヒマはない!って自分に言い聞かせてなんとか乗り切れたんです」
 
人気は、地元の野菜をたっぷり使った限定の「一汁五菜ランチ」。もちろんメインデッシュから、りんご酢を使ったオリジナルソースまですべて手作りだ。
そのひとつ「野菜とおからのはさみ揚げ」をメインにしたランチは、大阪府の「ヘルシー外食協議会」が主催する「ヘルシーメニュー人気コンテスト」で、なんと最優秀賞を受賞。
1次審査、府民投票、最終審査とキビシしい戦いを勝ち抜いただけに「発表の電話があった時は、ほんとにうれしくて。ツラいこともいっぱいあるけど、こんないいこともある。励ましてくれたり、応援してくれる人もたくさんいる。やっぱり夢に挑戦して良かったなあって」
 
「青春とは人生のある時期を言うのではなく、心の様相を言うのだ。たくましき意志、燃ゆる情熱、おびえを退ける勇気、安易を振り捨てる冒険心、こういう様相を青春というのだ」とアメリカの実業家サミュエルは言っている。年齢で夢を振り分けている限り、先へは進めない。
夢が見つかったら、とりあえずチャレンジしてみる、前へ進んでみる――そんな彼女の勇気は、きっと未来を迷っている人への応援歌になるはずだ。
 
 

<2017/1/20 取材・文/花井奈穂子 写真/ 小田原大輔>