私的・すてき人

一番おいしい温度とタイミング、これが料理の極意

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関西料理「萬月」代表

ごたんだ かずみつ

五反田 和光さん [大阪府貝塚市在住]

公式サイト: http://homepage2.nifty.com/mangetu5/

プロフィール

鹿児島生まれ。
夜間高校に通いながら、料理人の修業をはじめる。
20歳で大阪へ。料理長としての経験を積み、11年前に「関西料理 萬月」を開く。
現在、日本調理師連合会参与、南大阪支部日本料理研究会会長、厚生労働省調理技能指導員、真和四條流包丁儀式家元。

「料理は3の技術、そして7の頭脳や!」おもろいことをゆう人やな、と思ったらやっぱりアタリ。
マイ・ウェイ、わが道をゆくという言葉がピッタリ。「オレは異端児やからね・・・」豪快でに笑うその人生は、まさに“オレ流”――

23歳で料理長に

「兄貴がフランス料理やるゆうから、一緒はイヤや、オレは日本料理やる」と、夜間高校に通いながら、住み込みで料理人の道へ。「丁稚奉公に勉強はいらんゆうのは、間違ってる。頭脳がないと、なにもできん」
料理をやるなら大阪やと、20歳でミナミの店に。そこでアッという間に頭角を現し、1週間で給料がなんと倍。さらに23歳で料理長という“スピード違反”になりそうな勢いでの出世街道。「ツイてたんやなあ・・・」。「萬月」を開店する時も、実にユニーク。京でもナニワでもない、自分独自のネーミングをと、“関西料理”と銘打った。
京野菜や瀬戸内の魚・・・近畿の素材をふんだんに使った、まさに関西ならではの味。「一番おいしい温度とタイミング、これが料理の極意ですな」

四條流家元

そしてもうひとつ、彼にはちょっと珍しい「真和四條流」という、平安朝光孝天皇の時代から伝わる「包丁儀式の家元」という顔も。鯉の切り方だけでも、40種類以上もあるというからビックリ。無形文化財に指定されていて、伊勢神宮や平安神宮での奉納の際には、装束姿で技を披露。「これがまた、気持ちいいんや。スウーッと心も体も洗われていくゆうんかなあ」。
さらに、陶芸にもハマっていて、店には自作の器がいっぱい。
「いつか山に、隠れ家のような庵を作りたい」が夢。「定年すぎたら、男はどこにもいる場所がなくなるねん笑。そんなオジサン集めて、みんなで食べたり呑んだり、茶碗焼いたり・・・そんなんやりたいなあ」

2005/10/27 取材・文/花井奈穂子 撮影/小田原大輔