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私的・すてき人

「ありのままの自分でいい」そう教えてくれるのが“さをり”

File.031

「さをりの森 代表」

じょう けんぞう

城 研三さん [大阪府和泉市在住]

公式サイト: http://www.saorinomori.com/

プロフィール

1943年 堺市出身 同志社大学商学部卒
1969年 家業の「堺精機産業」を営む傍ら母、みさをのために簡単な手織り機を開発。そこから「さをり織り」が誕生する
2004年 室堂に3600坪の「さをりの森」を建設 「VSA ARTS JAPAN」の日本代表も務める

「人と違うことやったろやないか・・・」これがこの人の真骨頂。
まさに「誰かのコピーなんかくそくらえ!オンリーワンやからこそ輝くんや」と織物界に反旗をひるがえした母、みさをさんのDNAをしっかり受け継ぐ。
「ほんとの“自由”ってこういうことやって、“さをり”が教えてくれるんです」
“さをり”を語りだしたら、なんぼ時間があっても足らん。そのアツさもみさをさんにソックリ・・・。

あたった彼の予感

さをりを生み出したのが母、みさをさんなら、彼はまさに名ディレクター。
もともと破天荒、「何かにしばられるのが大嫌い」という母が、初めて手織りをしたいといったのはなんと57歳の時。そしてその母のために、もともと機械いじりが好きだった研三さんが「僕が作る」と織り機を開発。二人三脚、そこからまさに“さをり織り”が誕生する。

「機械にできんことをやってやる」というみさをさんの作品は、とにかくユニーク。糸クズははさむ、織り目はバラバラ・・・天衣無縫、でもその面白さに真っ先に気づいたのは研三さんだった。

「これ、ちょっとスゴイで・・・絶対世に出すべきや!」彼の一言で母は、心斎橋で一品ものを扱う店「丸山」へショールを見せに行くことになる。
すると“予感”的中、その場で「これは面白い!」と破格の値がつきウィンドーを飾ることに。その時、ブランド名をつけてくれといわれて思いついたのが「さをり」――“革命”への第一歩だった。

アメリカをビックリさせたる!

「真似することに喜びはない。違ってあたりまえ、人はみなすごいものを持ってるのに、それに気づかず生きている。そんなもったいないこと、ないでしょう?」
母が生徒を持つようになると、彼は「誰にでも織れる、もっとシンプルなものを・・・」と機械の改良に乗り出した。
気がつけば「家業そっちのけで“さをり”にはまってたのは自分かも・・・」。

やがて障害者施設「金剛コロニー」と出会い、そこで“奇跡”は起こる。今まで否定ばかりされてきた知的障害の子どもたちが、“さをり”に出会うや信じられないような作品を織り出したのだ。
常識や既成概念にしばられず、自由に表現していく彼らの作品はまさに「天才的!僕らには絶対織れない。命は生きるに値するということを、彼ら自身が気づいた瞬間やと思うんです」

今、やったろやないかと思ってるのは「アメリカへの殴りこみ!笑」
コンピュータのような、四角四面のアメリカの手織りに「こんなおもろいモンがあるんや。機械と同じことを人がしてたらアカン、と一発ゆうたろ思て・・・」。4月にはハワイで講習会も開催し、ニューヨークやシアトルにも・・・と活躍の場を模索中。

“無作為”のおもしろさ、これは日本の文化。いびつな茶碗やゆがんだ庭石、それを面白い、美しいと感じる日本独自の感性。「それを織物にしてみせたのがこの“さをり”。これこそ日本の心や・・・世界に、どや、スゴイやろって自慢してこよ思てます」

2007/08/02 取材・文/花井奈穂子 撮影/小田原大輔