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私的・すてき人

子どもたちがパーンってハジケる瞬間!それが見たくて走り続ける

File.074

ミュージカルスタジオ「M’s JUNCTION」代表

みやざき みちこ

宮崎 美智子さん [大阪府大阪狭山市在住]

公式サイト:

プロフィール

大阪狭山市出身 愛知県立芸術大学声楽科卒業後、名古屋演劇アカデミー修了。
1998年 子どもたちを中心としたミュージカル工房「音もだち」を立ち上げ毎年公演を行うほか、舞台の企画、制作、演出、ライブなどさまざまな活動を行う。
2008年 「スタジオM’s JUNCTION」設立。 堺、和泉市などで講師をつとめる大人のための講座「歌声喫茶」も大好評。

“教育”は、ある意味“呪縛”だといえる。
幼いころから繰り返される画一的な指導は、えてしてユニークな感性やひらめき、爆発力を子どもたちから奪い、封じ込めてしまう。

「人って必ず自発的なエネルギーを持ってるはず。閉じ込めてしまってるそのカラを破った時、その子のほんとのパワーが溢れ出すんです。そこへたどり着くまでは、もう闘いの連続(笑)。でもある日突然解き放たれたように何かが変わる……『あっ!今、このコはじけた!』っていう、その瞬間がメッチャうれしい!最高なんです」

大事なのは自分が楽しいこと

子どもから自己表現力を引きだしたいという思いは、過去の体験にある。

20代で、劇作家で演出家のふじたあさや氏に朗読のレッスンを受けていた時のこと。 「君はそんな風に読みたいの?って聞かれたんです。エッ、でもこう読めってずっと習ってきたし……。そしたら彼は『大事なのは、君がどういう風に読みたいかだよね』って。もう衝撃やったんです、こうでなければいけないっていう教育を受け続けて大人になったのに、全然違うやんって」

いつも大人がのぞむことをいち早く察知して、優等生として生きてきた自分。「でも、個性を育もうとしない教育って、なんかおかしいよなあって思いはじめた。素直に自分が表現できる、楽しくなれる、心地いいと感じられる…そんな風に生きたいなあと」

「だから生徒たちにも『こうしなさい』とは、けしていわないんです。風景や状況をいっぱい話して、イメージを湧きたたせたところで『その時どうしたい?あなただったらどんな風に思うかな?』と子どもにまかせてみる。だからその場で脚本を変えることもあるし、その子の思いがセリフになることだってアリです」

はみ出すことよりも、おとなしく平均点をとることを求められ、「こうでなければ」というルールを守らざるを得ない今の教育とは、両極にあるともいえるようなユニークな指導法。だが一度カラを破り突きぬけた子どもたちが繰り広げるステージには、信じられないようなエネルギーとパワーが満ち溢れている。

世代を超えて人を結びつけるのが役目

ミュージカル工房「音もだち」結成から13年、時代とともに入ってくる子どもたちのカラーも変わってきたという。

特にここ数年気になっているのが「ダンスや歌に動物的なカンが無いこと」なんだとか。「自然と触れあったり、体を使って走り回ったりする経験が少ないからかも……。パソコンやゲームのせいで、ボタンひとつで簡単になんでもできると思ってるのに、いざ体を使ってやってみたらできへん、根気もないからすぐ投げ出そうとする。そんなコが多くなってきたかな」

さらに「何かを表現するには“目に見えてないもの”こそが大事!。けど今の子たちはなんでもデジタル化されてる時代に育ってるから、そこにあるものしか見ようとしない。音楽は目に見えないけど人の心を揺さぶる、それと同じでその裏にうごめいているものを感じとる力がなかったら、演じることなんてできないでしょう」

それでも、そんな子どもたちを変えていこう、感性の海へ連れ出そうと、彼女の挑戦は終わることがない。

命の大切さを描いた名作「葉っぱのフレディ」を演じた時には、子どもたちに拾い集めた葉っぱを触らせ、風の音を思い起こさせた。「肌に触れれば、とりあえず感じようとする。そのうち、木ってこんな匂いがするんやとか、枝から散っていくってどんな気持ちやろ…とかいろんな思いがわいてくる。それこそが大事なこと、これからはドンドン外へも連れ出したい」

一方、泉北のあちこちで開催する、60代70代のオトナたちが集う市民講座「歌声喫茶」にも力を入れている。
「大人も一緒なんです。懐メロをみんなで歌っているうちに、どんどん楽しそうに変わっていく。ウツやった人が元気になっていったり…」 受講生はほとんどがその魅力にハマったリピーター、毎回どこのチケットもアッという間に売り切れてしまうんだとか。

「でね、上は80歳のおじいちゃんたちと、下は4歳のミュージカルの子どもたちが一緒に歌ったり感動したりできる企画をもっとやりたいと思ってるんです。世代を超えて人を結びつけられたらいいなあと。それが私に与えられた役割のような気がしてるんです」

ミュージカルを通して個性という種を育て、その人にしかない魅力を開花させる――その作業が何より楽しいという根っからのプロデューサー。彼女のもとでハジケた子どもたちが、いつか社会に出てどんなオンリーワンの花を咲かせるのか…ちょっと楽しみでもある。

2011/02/23 取材・文/花井奈穂子 写真/ 小田原大輔