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HOME > 私的・すてき人一覧 > 髭 輝雄(泉州HIGE工房)さん

私的・すてき人

泉州にいたってやればできる、全国区になれる…それが僕の勲章

File.086

イラストレーター

ひげ てるお

髭 輝雄(泉州HIGE工房)さん [大阪府高石市在住]

公式サイト: http://www003.upp.so-net.ne.jp/hige/index.html

プロフィール

岸和田市出身 
大阪市立工芸高校デザイン科卒業  
企画デザイン会社に就職するも、後に脱サラして独立 「泉州HIGE工房」を立ち上げる
フリーで仕事をこなす一方、HPに掲載した作品がテレビ局の目にとまり、「しゃべくり007」「嵐にしやがれ」ほか人気番組に次々起用されることに

東京じゃなきゃ仕事がない、成功できない―そんな常識なんてクソくらえ!「オレは東京なんか行かへんで。ここ、泉州でやるんや!」と、とことん地元にこだわる心意気!

高石から一歩も動かない、いわば業界の異端児だが、その仕事ぶりはまさに全国区。彼のイラストをTVで見ない日はない、というほどの“売れっ子”ぶりなのだ。

しかも彼が担当するのは「しゃべくり007」「嵐にしやがれ」「ぐるナイ」「スター★ドラフト会議」……いずれも毎回高視聴率をたたき出す、日本テレビの看板番組がズラリ。くりぃむしちゅー、嵐といった旬の芸人やアイドルのトークを、思わずニヤリとしてしまう似顔絵やイラストで盛り上げる、TV界になくてはならない“仕事人”なのだ。

「携帯ひとつあれば仕事は来る。地方にいたって、やればできるんじゃい!を証明してみせたいんですわ」

「面白い場所」を探し続けた青年時代

人気番組をいくつもかけもちし、家族旅行にも出かけられないほど、締め切りに追われる。

だが当然ながら、初めからこんなに順風満帆だったわけではない。

絵やデザインが好きで工芸高校を選んだ。「ま、田舎のルーキーズみたいなもんでしたわ。ヤンチャやねんけど軟弱なヤツで…(笑)学校では好きな絵やデザインを描けるだけで楽しかったんです」

ところが卒業して、いざデザイン企画の会社に就職してみると「思ってたんと全然違った。鉛筆でのレイアウトや校正、写植…なんか地味なんばっかりでおもしろない、オレがしたかったのはこんなん違うって」

“面白い場所”を探して転職を繰り返すも「やっぱりなんか違う。僕はイラストやりたいのに…」

だが、結婚し子どもが生まれ、生活が肩にかかってくると夢ばかりを追ってもいられなくなる。さらに歳をとるにつれて転職も難しくなる。

「いったんはもう諦めようと。資格を取ってフォークリフトに乗ったり、染色工場での仕事も8年くらいやりました。でもやっぱりクスぶってるんですね、オレなんでこんな事やってんねやろ…って」

そんな時ちょうど勤めていた会社の経営が傾き、早期退職を募りだした。普通なら落ち込む場面だが、「やった!って思いましたわ。辞めるなら今や! 退職金ももらえるし、奥さんにいい言い訳ができたって(笑)」

座右の銘は「タイの尾よりイワシの頭」、タイムカード押すのさえ嫌いだったという自由人の彼にとって、まさに脱サラの大チャンスが訪れのだ。

イラストレーターを目指す若者の励みになれたら

さっそく自宅2階を「泉州HIGE工房」に。子どもの頃から曳いていた大好きな地車を、コミカルなCGアートにしてHPで発信したり、本や雑誌のイラスト、地図、写真の加工…と、とにかく依頼がくればなんでもやった。

そして数年後、彼のHPをたまたま見たTV局の制作スタッフから「面白い!」と声がかる。そこから道は一気に開け、次々とTVの仕事が増えていったのだ。

「あの頃の経験がスゴい役に立ってるんです。今僕スタッフさんに重宝されるのは、何でもできるから。イラストでもCGでも、漫画や似顔絵…あいつに頼めば何でもやれるって、ようは便利なんですわ(笑)」

ごまんといるイラストレーターのなかで、なぜ彼が選ばれるのか。
便利なだけなら東京にだってたくさんいるだろう。
そこにあるのは、にじみ出る大阪人ならではのオモロさ。思わずクスッと笑ってしまう似顔絵のくずし方も、オチのつけ方も…それでいて一度見たら忘れられないパンチ力に、こちらは参ってしまうのだ。

「ホンマはもっともっとくずしたいんです。でもスタッフさんがもうええから、抑えてくれって(笑)」

今は仕事が楽しくて楽しくて仕方ない。

「夢を封印してフォークリフトに乗ってた男が、今こうして好きな仕事ができてる。この泉州で食っていけてる。それが僕にとっての勲章です」

「だからこんな僕でも、イラストレーターを目指してるコたちの励みになれるんちゃうかなと思うんです。東京にいても、なれないヤツはなれない。高石にいたって、気合い入れて頑張ったら全国区になれるんやでって…もしも僕に才能があるとしたら、あきらめない気持ち、それだけです」

2012/2/2 取材・文/花井奈穂子 写真/ 小田原大輔