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私的・すてき人

この街が大スキ!っていう子どもたちでいっぱいにしたい

File.097

「りんくう花火実行委員会」代表

こい かつみ

古居 克巳さん [大阪府泉佐野市在住]

公式サイト: http://rinkuhanabi.jimdo.com/

プロフィール

1969年 岸和田市出身 
2010年 「りんくう花火実行委員会」を仲間とともに立ち上げる
2012年 「ENJOY!りんくう2012」と題した花火大会を、市民の力で8年ぶりに復活させる

「僕らの手で花火大会、復活させよやないか・・・」

彼のそのひと言から、すべてが動き出した。

関西国際空港という海外への拠点があるにもかかわらず、財政難にあえぎ続ける泉佐野という街を「なんとか元気にしたい!」「もう一度活気あふれる場所にしたい」――そんな人々の思いが“花火”というキーワードでリンクし、そしてひとつになった。昨夏、りんくうの空には1000発もの花火が咲き、3万人近い人たちが歓声をあげたのだ。

「みんなの力で大きな夢が実現しました。でもここからがスタート!この街が大好きって子どもたちにいってもらえるような、また戻ってきたいと思ってもらえるような、そんな魅力ある街にしていかんとアカンのです」

行政に頼っていては進まぬことも、市民のアツい思いがひとつになれば、それは大きな爆発力となって街を動かす。そしてまさかと思うような夢だって、カタチにできてしまう。
「その夢が本気なら叶う、それを子どもたちに伝えたいんです」

ワクワクするイベントがあれば街は変わる

9年前、泉佐野に引っ越してきた。その時楽しみにしていたのが、毎年りんくうで行われていたはずの花火大会。

「見に行きたいなと思って調べたら前年、市の財政難で中止になってたんですよ。エエッ!なくなったん?それやったら、自分らでやれんかなあって、仲間と話したんが始まりなんです」

「人材関係の仕事をしていて思うんですけど、学生があまり地元で働きたがらない。ここで働きたい、ここに住みたいと思えるような魅力が、あんまりないんやなと。僕の生まれた岸和田にはだんじりがあって、それが誇りやし、そのためにみんな帰ってくる。そんなワクワクするイベントがあれば泉佐野も変わるん違うかなって思ったんです」

こうしてプロジェクトはスタートするが、何から手を付けていいのか、右も左もわからない。だがとにかく「1年後には花火大会を開催するぞ!」と決めて、メンバーと共に走り出したのだ。

寄付を募るために店を回り、街でビラを配り・・・とひたすら資金集めに奔走する一方で会場の確保、イベントの企画、市への協力要請・・・と山のように積まれた課題を、ひとつずつこなしていかなければならない。

「今では恒例になってる『なにわ淀川花火大会』も、もとはたった3人の市民で始めたもの。そんなお手本があるんやから、僕らだってできる、どんな高いハードルだって超えられるって思ってました。まあ楽天家なだけかも(笑)」

ところが、寄付も集まり、若いスタッフも増えて計画通り夏には開催できる・・・と思った矢先、イベントには付きものの大きな問題に足をとられる。
それは会場、周辺道路などの警備や安全体制を整えられるのかという難題。なにより困ったのは、当日何万人訪れるのかという予想が、まったく立たないことだった。

「僕らは一万人来てくれればいいと思ってたんですが、じゃあ当日その何倍もの客が来たらどうするのか、事故はどうやって防ぐのか・・・」話し合いもなかなか進まず、準備不足なまま結局延期に追い込まれてしまう。

いつか海外からもお客を呼べるように

「しばらくは『詐欺じゃないか』といわれることもあったり、キツイ時期でした。でも僕のなかでは不思議と、実現できるという確信みたいなものがあった。今年は無理やったけど、来年は絶対開催させるぞと思ってました」

その言葉どおり一年後の9月1日、朝からどしゃ降りだった雨が奇跡のようにあがって、市民の手による記念すべき第一回大会「ENJOY!りんくう2012」が開幕となった。

構成も、お役所では思いつかないような、ユニークなアイデアと仕掛けがギッシリ。

地元の「B1グランプリ」とでもいうような、ここならではのうまいもんを集めたフェスタや、タオル投げコンテストに抽選会。
さらに買ったクジと、スロットマシーン花火の模様が揃ったら大当たり!というユニークなものや、なんと小中学生がデザインした花火まで登場して会場を沸かせたのだ。

こうして地元の小学生らを巻き込むのには、意味がある。
「子どもたちにも、大会に参加する楽しさ、夢を実現する喜びを知ってもらいたい。そしたら今度はその子たちが大きくなって、花火大会を引っぱって行ってくれる・・・それが僕らの願いなんです」
まず3年は大会の基礎固め。そして次の3年は泉佐野の“名物”として各地から人を呼べるように。さらに先の3年は関西空港があるという立地を生かし、海外からのお客をもてなせるように・・・大きな夢は、実現に向けてのしっかりしたビジョンに支えられている。

「ロケーションは抜群だし、ホテルだけでなく船や観覧車から見る企画だってできるでしょう。空港という利点を生かせば、アジア各国からお客さんを呼べる。経済効果はもちろん、花火の収益を街づくりに貢献していくこともできる。泉佐野だけじゃない、りんくうエリア全部を巻き込んでの、一大イベントにしていきたいんです」

本気で見る夢は必ず叶う・・・市民の手から生まれたりんくうの花火が、やがて世界に知られる日もそう遠くはないかもしれない。

2013/2/3 取材・文/花井奈穂子 写真/ 小田原大輔