目の前には大海原が広がり、背中には山並みがそびえる泉州地域。いくら開発が進んだといっても、まだまだ豊富な自然がたくさん残されています。そんな緑や土を存分に楽しむことのできるのが観光農園『南楽園』。テレビでも数多く紹介されているからご存知の方も多いはず。見る、触れるだけじゃなくて直接味覚が体験できるのも大きな魅力。
童心に戻ったキット編集部が一足先にほのぼのとした秋の一日をご紹介します。
■広さはなんと甲子園球場の3倍
堺市には珍しい田園地域のなだらかな道を通り抜けると姿を見せる盆地状の敷地。3万6千坪の広さは甲子園球場の約3倍。ぐるっと一回りするには約30分かかるとか。もともとはミカン山だったのを昭和47年ころ出荷販売から観光農園に切り替えられたとのこと。
「ちょうどそのころ、ミカンの暴落がありましてね。どうしようかと思っている時に出荷先の生協さんから『ミカンのなっている所を見たい』という要望があったんです。それならまぁ、来てくださいよ、て言うたら『こんな楽しいことないわ。ミカン狩りされたらどうですか』て言われたんです」とお話くださるのはオーナーの奥様。
最初はミカンだけだったのが、お客様の要望と年中楽しめるようにとの考えから作物を増やされ、現在は11品目。
「自然相手の仕事ですから大変ですが、お客様が喜んで帰っていただくのがを励みにやっています」
3月の甘夏を皮切りに4月のイチゴ、5月下旬の梅、6月上旬のじゃがいも、6月下旬のスモモが春から夏にかけての味覚(イチゴ、甘夏、スモモは畑で食べるだけ。その他はお土産に)。
秋はブドウ、ナシ、サツマイモに栗拾い(ブドウ、ナシは持ち帰り不可)。珍しいのはメロン狩り。100g80円から100円で、採ったものはお土産に、園内では熟したものを食べることができます。そして、これからの季節は何と言ってもミカン狩り。品評会で農林水産大臣賞を受賞したお墨付きの温州みかんはもぎたての味わいがまさにジューシー。
「その場で食べていただくものですから、最低限まで農薬をひかえた有機栽培です。手間はかかりますが安全第一ですし、お客様が目の前で食べられて美味しいと言ってくださるのが一番うれしいですね。」
■施設充実、大人も子どもも大満足
園内に13ポイント揃えられたフィールドアスレチックは金太郎の丸太渡りやウサギと亀の山登りなどユニークなネーミングに気分もわくわく。お子様だけじゃなくて運動不足のお父さん、お母さんも思わずチャレンジしたくなることうけあいだ。目いっぱい身体を動かした後は、園内左奥の釣り池で糸をたれてのんびり気分。獲物は鯉や金魚で一竿につき5匹まで持ち帰ることができます。なだらかな坂を下れば、そこが南楽園名物、「洞窟喫茶かがし」。入り口にある説明書きによれば昭和18年、当時の陸軍が医薬品を貯蔵するために掘られたものとか。
奥行きは約25メートル、幅約2メートルの洞窟は70余名収容可能。名前の「かがし」は同園付近の方言で「かかし」のこと。空調設備がなくても年中18度に温度が保たれ、夏は涼しく冬暖かく、薄暗い内部は少しミステリアス。いつのころからか願い事を絵馬に落書きしてつるしておくと叶うと言われています。だからカップルのラブラブメッセージや合格祈願、有名なバレーボール選手の名前も発見!
■自然満喫、お肉で満腹
計640名収容可能のバーベキューハウスと宴会場が南楽園流のレストラン。壁のない吹き抜けの造りは風通しがよく、さわやかな風を感じながらのお食事が可能。お肉の質にこだわったすき焼きと焼肉が大評判(要予約)で、売店ではおにぎり、うどん、おでんなどの軽食、飲み物がスタンバイ。宴会場横の広場でお弁当を広げるのもいいかも。お腹がいっぱいになれば、もう一度園内を散策するもよし、釣り糸をたれるもよし、洞窟喫茶でくつろぐのもよし、広場でバドミントンなんかもおもしろそう。トイレは全て水洗だからとっても清潔。授乳所やおむつ交換に便利なベビーベッドも完備されているからお母さんにも安心。
■童心に戻るパラダイス
最初に記したように泉州には自然が多くて、それを利用した施設が多いのも事実です。けれど南楽園はどこにもない穏やかな気分に浸ることのできる魅力がいっぱいでした。それはいったい何故なのか? 取材がてらよくよく考えてみると全てが手作りであることに気がつきました。「改札口」と呼ばれる入り口ゲートから売店、食堂、管理事務所に至るまで、素朴な木製でコンクリートやセメントはほとんど見ることがありません。周囲の風景に溶け込むかのように一体化しています。その上、通路も全てが未舗装。だから雨の後にはぬかるむだろうし、風の強い日には砂ぼこりが立つ可能性もあります。けれど、それが当たり前のことであることに改めて気づくことができます。水面を渡り、木立をくぐり抜けてくる風の匂い。雨に濡れ、日に焼けた土の匂い。季節によって姿を変える花々。春の桜、初夏のミカン、秋の紅葉。自然は季節によってさまざまな表情を垣間見せ、決して同じではないはずです。そして、そんな大自然が育んでくれた果実や作物を直接自分の手で摘み取り、食べる。土の坂道を歩くのはつらいだろうし、果物を直接口に運べば果汁で手も汚れます。可愛いカルガモやアヒル、時にはフクロウも顔をだすけれど、草むらに行けばクモや地虫もいます。けれどそれ以上の幸福感を味わうことができるはずです。案内板も全部、オーナーさんの手書きで田舎情緒あふれる改札口横にはこんな一節が記してありました。
「南楽園は夢のある処。子供の頃のにほいを呼び起こす」
南楽園はまさに泉州の、大阪のパラダイス。忙しい、忙しいと口癖になっているお父さん、お母さん。お子様と一緒に少年、少女時代に戻ってみてはいかがです?
(取材・文/歯黒猛夫)
※ 2003年10月発行 「泉州の最強ランチ本」より抜粋。
掲載のデータなど当時のものです。
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